バカロレアの導入は確実に進んでいます

2015/06/16

本日、6月16日付の日本経済新聞の1面にバカロレアに関する記事が掲載されています。私たち、このIB教育に取り組む者にとって、こうして徐々に、色々なところで「バカロレア」という名称が聞かれるようになることは喜ばしいことです。
私がIBスクールに出会ったのは今から約5年前、自分なりに海外の色々な実践校を見て回り、そこで出会った先生方のプロ意識に背中を押され、自分の学校でもどうにか取り入れられないものかと始めたのはまだ(もう?)2年半前のことですが、当時、自分以外にバカロレアを知る人は殆どおらず(少なくとも岐阜には)、随分この「アウェイな」感じに耐えてきました。
文科省は、義務教育の名の下に、各学校で行われる授業の質の平均化を意図して、もうガチガチに決め事をし、現場の職員の主体性、学校の主体性を制限してきました。そしてそれは子ども達の自由な学びも制限してきたのだと思います。
一方、グローバル化は急速に進み、求められる人材が、組織の中で黙って素直に言われたことをこなせるタイプから、自分の意見、主張があり、創造力が豊かである若者に変化してきた中で、「日本の教育はこのままではいけない」と、慌てて、生徒の主体性を重視するこのバカロレアの教育の導入を始めたというのがこの記事に見られる制度改革の基本的な理由です。

長年に渡り、文科省が国の方針として貫いてきた今までの教育は、「質の平均化」の観点では良かったものの、非常に根の深い問題を残しています。「根が深い」とはどういうことかと言うと、それはつまり、今教えている教師たち自身が、いわゆる「受け身の教育」しか受けてこなかったせいで、急に「生徒主体の教育」と言われても考え方を変えるのにとても時間がかかるからです。

今日の記事は何の事かというと、バカロレアの卒業認定を受けるのに必要な科目がありますが、一方で、日本の高校卒業資格を得るために履修が求められる科目もあり、今後、それをできる限り共通化する中で、希望する学生にはバカロレア資格を取りやすくするということです。しかも、学校教育基本法という、およそ簡単には手がつけられずに来たものに変更を加えるというのですから、文科省の意図は相当真剣なものであることが伺えます。
いずれにしても、この流れはこの先どんどん加速すると思いますので、今、幼稚園児のお子さんが高校生になられる頃には全国の至る所でバカロレア教育及び、ディプロマプログラムの資格取得が可能になります。
しかしながら、これはあくまで制度に変更を加えているに過ぎず、文科省の意図は、制度を変えていかないとこのバカロレアというか「生徒主体の教育」は日本に浸透していかないと考えているだけで、今の教育のあり方そのものを現場レベルで変えていくところまではまだ踏み込んでいないということを理解する必要があります。
幼児教育は、学校教育の始まりであると私は思っています。現に、教育基本法の第1条に謳われている「学校」の一番最初にあるのは「幼稚園」です。日本の学校教育を本当に変えていきたいのであれば、本来は幼稚園から徐々に変えていくのが当然と思われますが、日本の教育改革の歴史は残念ながら常に「上から下」という流れです。(ニュージーランドなど教育先進国と言われる国では、教育改革は常に初等教育からです)
それはさておき、「生徒主体の教育」が進めば、子ども達は、もっと意欲的になり、学校もより楽しいものになるはずです。一人一人の違いも当たり前のこと、良いこととして受け入れられるようになれば、不登校も、いじめも減るに違いありません。私は自園での教育実践を通して、この生徒主体の教育に大きな手応えを感じています。

今後も色々な流れの中で、サニーサイドの教育は全国的な注目をあびることになるのだと思います。アウェイだった取り巻きの環境も大きく変化するに違いありません。でも(少しスノッブな言い方になりますが)、世界のトレンドはもう「生徒主体」なんです。「教師主導の教育」は言わば、オールドファッション、時代遅れだということは、日本の外に出て色々見てこれば一目瞭然、人類の歴史同様、世の中、大抵のことは変化していくのが自然であり、教育も50年という単位では仮に変わらなくても、100年、200年という単位で見れば、大きく変化してきたし、また変化していくものだと思います。

バカロレアの教育実践をしている現場の先生たちは「変わり続ける事」の大切さを誰も実感しています。教師自身もLife long learnerとして、一生学び続け、変わっていく、それは怖いことではなく素敵で、楽しいことだという事が、もっともっと広く伝わればいいなと思うばかりです。

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